最高峰への頂を目指す「シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』」 ー ミヤザキタケルのミニシアターで会いましょうwith花柳のぞみ

ミヤザキタケル
花柳のぞみ

映画アドバイザー・ミヤザキタケルさんが、俳優・花柳のぞみさんと一緒に全国津々浦々のミニシアターを巡り、各劇場の魅力や推しポイントをお届けします。目指すは全国のミニシアター制覇♪

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今回は、サブカルチャーの聖地・下北沢の再開発で誕生した「シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』」にお伺いしました。

 「下北沢」と聞いて、皆さんは何が思い浮かびますか? 古着・演劇・ライブハウス・グルメ・飲み屋・ヴィレヴァン……etc.、人それぞれに思い浮かぶものはさまざまであると思います。が、サブカルチャーの聖地として昔から若者に親しまれてきた下北沢の街は、近年再開発によって大きくその様相を変えています。その流れの中で2022年1月にオープンしたのが、今回ご紹介するミニシアター。小田急線下北沢駅南西改札口から徒歩0分、駅直結の複合施設NANSEI PLUSの(tefu) lounge内に居を構える「シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』」である。

 その始まりは、クラウドファンディングプラットフォーム『MOTION GALLERY』の代表で、現在『K2』の共同代表を務める大高健志さん(映画に目覚めたキッカケの作品は『四月物語』と『12モンキーズ』)の元に、下北沢の再開発を計画していた小田急電鉄から「街に価値のある再開発を」という意向の相談があったことに端を発しており、街作りの一環として企画がスタート。紆余曲折の末に、濱口竜介監督作『ハッピーアワー』の製作や『偶然と想像』の配給などを手がけ、MOTION GALLERYも参画する「Incline」という5社からなるLLP(有限責任事業組合)が運営をすることになり、コロナ禍の影響がまだ冷めやらぬ中にありながらも、クラウドファンディングにて目標金額300万円を大きく上回る752万円もの支援が集まり、多くの映画ファンや地元住民に支えられ今日に至っている。ちなみに「K2」とは、映画館がある“北沢2丁目”と、映画人にとって最高峰の場所にしていきたいという想いから、パキスタン・インド・中国の国境付近に横たわるカラコルム山脈にある世界最高峰の山“K2”から取られたダブルミーニングである。

 チケットはオンライン予約及び劇場の発券機によるキャッシュレス決済のみとなっており、時代に即したスムーズな発券が可能。チケット料金に関しては一般1800円、大学生・22歳以下・シニア1500円、高校生1000円、小学生500円と、近年値上がりが続く映画館が多い中、良心的な価格をキープ。劇場ロビーにはカフェが併設されているほか、フリーで利用できる机や椅子、グッズコーナーやフライヤーコーナーが設置されており、一歩外へ出れば複合施設内にさまざまの店舗があるため、上映前後の過ごし方、その選択肢の幅は極めて広い。また、劇場ロビー内から1階へと降りる階段には、これまで登壇されてきた数多の監督や俳優のサインが壁一面にビッシリと書かれているので、鑑賞の記念にチェックしてみるのはいかがでしょう(実は僕も以前トークイベントに登壇した際に書かせていただきました)。

 劇場内の座席はコトブキ社製 の分厚くふかふかなものが70席、3608×1950のフラットスクリーンを有し、音響は最新のドルビーデジタル7.1chを採用。上映作品の選定基準について伺うと、MOTION GALLERYにてクラファンを実施した作品をはじめ、まだ1作目や2作目の段階である若手監督の作品を数多く上映しているとのこと。というのも、自分の作品を観客に目にしてもらうという経験を積んで欲しいという願いのもと、若手監督の育成に重きを置いており、それこそがシネコンとミニシアターにできる大きな違いであると大高さんは言う。また、音楽や演劇がさかんな街であるからこそ、演劇出身の監督が手がける映画作品や、音楽要素が絡んだ劇映画やドキュメンタリーも積極的に上映しており、演劇・音楽・映画それぞれのファンが交わることのできる場作りも心がけているとのこと。そして、映画離れが加速していく現代において、映画館で映画を観るという人口を若い世代から増やしていこうと、若者に強く興味を持ってもらえたり、映画好きが育っていくような作品の上映も意識しているとのこと(実際、客層は若者が多いそう)。

 上映前に流れるマナー映像に関しても『K2』ならではの特徴があり、そこには下北沢の商店街で飲食店を経営する方たちが多数出演しており、マナー喚起と同時に下北沢の飲食店を知ることができる他に類を見ないお得なマナー映像となっている(定期的に撮影をしており、足を運ぶ度に新たなお店を知ることが可能)。よく「地域に根ざした〇〇」という言葉を耳にすることがありますが、こんなにも地域に根ざした映画館もめずらしい。

 以前本コラムでも紹介した「下北沢トリウッド」をはじめ、VHS鑑賞ができる「TAN PEN TON」、サウナ併設型のサイレントシアター「シアターギルド下北沢」など、映画色がより一層豊かになっていく下北沢の街。ここ数年下北沢へ訪れていなかった人ならば、たくさんの衝撃を得られるのではないでしょうか。そして、2024年11月に記念すべき2周年を迎える『K2』では、深田晃司監督のオールナイト上映や新サービスを展開予定(詳しくは『K2』のHPやSNSをご確認ください)。最高峰への頂を目指す『K2』の歩みはまだ始まったばかりである。それでは、次のミニシアターでまたお会いしましょう♪

花柳のぞみ

ここからは、花柳のぞみが「シネクイント」の見逃せないところをご紹介します。題して「はなやぎのビビッとポイント!」

1. 外観がスタイリッシュ! 文字が浮かび上がっている……。思わず足を止めて中を覗き込んでしまいますね!

2. フォントフェチ花柳、これは見逃しません。手書き風のお手洗いかわいい〜! シンプルだけどお洒落です!

3. 階段にあるサインの数々! ぜひミヤザキさんのサインを見つけてください♪ 私もここにサインを書けるよう頑張るぞ〜!

ミヤザキタケル
みやざきたける|映画アドバイザー
1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweet・PHILE WEBでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

花柳のぞみ
はなやぎのぞみ|俳優
1995年、秋田県出身。趣味は、カメラとおさんぽ。主な出演作に映画『人狼 デスゲームの運営人』メインキャスト・姫菜役、YouTubeドラマ、TOKYO MX「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」保田紘子役。現在、「NURO モバイル」web CMに出演中。

記事内写真 / 花柳のぞみ
文 / ミヤザキタケル

今回の記事を含む、ミニシアター限定配布のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」1月号についてはこちら。
DOKUSOマガジン1月号(vol.28)、1月5日発行!表紙・巻頭は岡山天音、センターインタビューは綱啓永!

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ミヤザキ タケル 映画アドバイザー

1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweetでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

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