『IMMEASURABLE MYSTIC BOOK』 未開の島を調査する探検隊

ミヤザキタケル

くだらない!だが、くだらないことを大真面目に、且つ本気でやっているから面白い!作品そのものはフェイクドキュメンタリーの体裁を保ち、詰まる所は大ぼらでしかないのだが、外国人による探検隊のチーム編成が説得力を増してくる。

CGで描かれる未知の生物たちは既視感がなく新鮮だし(キモイし)、ナレーションの声が無駄に良過ぎて聞いているのが心地良い。そうして、語られていく未知の生物たちの生態を面白おかしく見聞きしているだけでも十分楽しめる作品なのだが、作品に込められているであろうメッセージを汲み取るという別の楽しみ方もあるのが本作の良い所。

未知の生物たちの生態や習性を耳にしていく内に、自ずと気が付くことがある。それは、彼らは決まって互いを支え合い、助け合い、手を取り合うことで生存しているということ。お世辞にも見栄えが良いとは言えない不気味な生物たちであるが、どこか愛嬌や愛着を感じられるのは、その優しい生態に尽きる。

終いには、悲劇的な過去を持つ生物のエビソードまで登場し、不覚にも涙しそうになってしまう。全ては空想のお伽噺であり、嘘でしかないというのに、フェイクドキュメンタリーという枠組みを超え、人間にとって欠けがちな相互理解や環境問題についてまで思考を巡らせることになってしまう異色の作品。

©平沢翔太

ミヤザキタケル 映画アドバイザー

WOWOW、sweetでの連載のほか、各種メディアで映画を紹介。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』がバイブル。

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