『ERIMO(いーあーるあいえむおー)』 水木しげる人形の制作秘話 2021.3.30
ミヤザキタケル
2004年に江戸東京博物館で開催された「大(Oh!)水木しげる展」において、等身大の水木しげる人形を制作した人形作家・えりもさんに迫ったドキュメンタリー作品。彼女の存在を認識していない人にとっては、水木しげる先生の存在にまず目が向かうだろう。作品本編に水木先生ご本人も登場するため、生前の姿を拝めるという利点が本作にあることは間違いない。
しかし、見ていくうちに、等身大の人形が制作されていく過程に興味が赴き、えりもさんという人間に対する興味が自ずと湧いてくる。当時23歳という若さで大役を任された彼女の姿勢、ものづくりに懸ける想いや情熱や葛藤、完成された人形のクオリティの高さ、その一つひとつに心奪われていく。
特定の分野において秀でた人物の姿に迫り、映し出される多くのことの中から学びを得られるのが、ドキュメンタリー作品の魅力の一つ。本作にはその魅力が確かに宿っている。何かしらの夢を追いかけている人や、ものづくりに携わっている人には、是非とも見て頂きたい一本である。
©水木プロ
ERIMO
「大(Oh!)水木しげる展」にて、等身大の水木しげる人形を制作した人形作家の制作過程を追ったドキュメンタリー。ものづくりに懸ける情熱が詰まった一本。
ミヤザキタケル
映画アドバイザー
WOWOW、sweetでの連載のほか、各種メディアで映画を紹介。『GO』『ファイト・クラブ』『男はつらいよ』がバイブル。
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