まだ観ぬ映画との出会いをもたらす最高の映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」を訪問! ー ミヤザキタケルのミニシアターで会いましょうwith花柳のぞみ

ミヤザキタケル
花柳のぞみ

映画アドバイザー・ミヤザキタケルさんが、俳優・花柳のぞみさんと一緒に全国津々浦々のミニシアターを巡り、各劇場の魅力や推しポイントをお届けします。目指すは全国のミニシアター制覇♪

ミヤザキタケル

今回は、渋谷の街で変わることなく映画の魅力を発信し続けているミニシアター「ヒューマントラストシネマ渋谷」にお伺いしました。

足繁く通う映画館があなたにはありますか? もしそれがミニシアターならば、劇場のスタッフさんや支配人さんと親しくなることもあるかもしれない。行けば必ず注文してしまうフードやドリンク、決まって予約するお気に入りの座席、上映時間の前後に新作映画のフライヤーを眺める時間、上映後に必ず立ち寄るカフェやご飯屋さんなど、人それぞれに映画館との関わり方やマイルール、独自のルーティーンのようなものが確立されていくと思う。とあるミニシアターにおける僕のルーティーンは、鑑賞後にエレベーターを使用せず、上層階からエスカレーターで時間をかけてゆっくりと降りること。鑑賞した映画についてあれこれと思考を巡らせる時間がたまらなく心地良く、2008年に『歩いても 歩いても』を観た時からずっと続けている。そのミニシアターとは、渋谷駅から明治通りを原宿方面に徒歩7分、ココチビル 7・8Fに居を構える「ヒューマントラストシネマ渋谷」である。

始まりはココチビルの開業と同じ2004年。当初は異なる会社が運営しており名称も違うものであったが、2008年より現在の名称へと変わり、2009年からはテアトル新宿などで知られる東京テアトルが運営を開始。再開発により日毎に形を変えていく渋谷の街で、シネマライズ、渋谷TOEIなど、残念ながら閉館していく映画館も多い中、変わることなく映画の魅力を発信し続けている。支配人の大谷さん(ミニシアター作品に興味を持つきっかけになった映画は『トレインスポッティング』)に話を伺うと、近年では複合商業施設であるMIYASHITA PARKが劇場の向かいにできたことで、渋谷における人の流れに変化が生じ、カルチャーに興味のある学生など若い客層が増えてきているとのこと。そんなヒューマントラストシネマ渋谷では、多様な文化が混在する渋谷という街のカラーに合わせ、国内外の作品問わず、多種多様な作品が上映されている。公式サイトなどで目にできるキャッチコピー「自分の好みがみつかる映画館」が示す通り、あらゆる映画との出会いのキッカケを生み出す場となっている。

また、同劇場を語る上で外せないのが、2012年より始まった劇場発信型映画祭「未体験ゾーンの映画たち」。毎年1月に行われるこちらの特集上映では、あらゆる事情で日本公開が見送られてしまった傑作・怪作映画をまとめて一挙に上映。ここでしか観ることのできないレアな作品との出会いを求めて、毎年多くの映画ファンが足を運んでいる。他にも「渋谷インド映画祭」、「是空オルタナティブ・ムービー・コレクション映画祭」、「韓国映画CJゾーンの映画たち」など、毎年あらゆる特集上映が組まれており、まだ観ぬ映画との出会いを追い求める人にとって、最高の映画館と言えるだろう。

ココチビルの7階と8階に3つのスクリーンを有するヒューマントラストシネマ渋谷。8階には受付のほか、新作映画のフライヤーや机付きの座席が設けられている。Wi-Fiもあるため、混みがちな渋谷のカフェで時間を潰すくらいなら、早めに劇場へ訪れるのもアリ!シアター1は、コトブキ社製の座席が200席、クリスティ社製のデジタルシネマプロジェクターを有し、音響は7.1ch。2020年には、アートハウスの最先端として妥協のない音作りを目指した音響システム「optimal design sound system(+α)」(「劇場ごとに最適化されたサウンドシステム」に「劇場独自の映画体験が付加される」という意味)、通称「odessa(オデッサ)」を導入。“音”が際立つ作品をご覧いただく際には、是非ともこちらをご利用いただきたい。7階のシアター2は座席が173席、シアター3は座席が60席。スクリーンサイズの違いとodessaの有無以外は、シアター1と同じ仕様。ロビーにはフード販売エリア「テアトルカフェ」とグッズ販売エリアがあり、通路にはソファーやスツールの座席が設けられているため、こちらも上映前後の時間をゆったりと過ごせるようになっている。会員サービスも充実しており、関東・関西の13の劇場で使用できるTCGメンバーズカードは、年会費1000円でいつでも映画が1300円で鑑賞できるほか、火曜・木曜は1100円。入会時には1100円で鑑賞できる割引チケットも貰えるというお得のかたまりのようなサービスとなっている(上映作品のデザインがあしらわれたコラボカードもオススメ)。公式のTwitterアカウントも頻繁に更新されており、フォローしておくだけであらゆる映画の情報に触れられるヒューマントラストシネマ渋谷らしいものになっているので、是非一度チェックしていただきたい。

映画館とは相反するかのように思われるサブスク作品の上映や、サブスクでの「未体験ゾーンの映画たち」の配信など、型に囚われることのない映画のあり方を模索するヒューマントラストシネマ渋谷。配信には配信の魅力があり、劇場には劇場の魅力がある。配信と劇場は似て非なるもので、劇場での体験を求めて来てくれるお客様がいる。そう語る大谷支配人の言葉がとても印象深かった。都内にお住まいの方はもちろんのこと、他県にお住まいの方も、東京は渋谷へお越しの際は、是非一度ヒューマントラストシネマ渋谷へ足を運んでみてはいかがだろう。それでは、次のミニシアターでまたお会いしましょう♪

花柳のぞみ

ここからは、花柳のぞみが「ヒューマントラストシネマ渋谷」の見逃せないところをご紹介します。題して「はなやぎのビビッとポイント!」

はみ出ているスクリーンナンバーに無機質なドア、なんともお洒落。渋谷の街にぴったりな洗練されたデザインですね!

フフ。各劇場のお手洗いマークをチェックしてきた花柳。見逃しませんよ!マリリン・モンローとジョン・トラボルタが見えますか?

ちょこんちょこんと等間隔に並べられたカラフルなイス。キューブ状でかわいい!待ち合いスペースがかわいいとテンション上がりますね♩

お分かりいただけるでしょうか。ヒューマントラストシネマに向かうエスカレーターを下から見上げた一枚です。なんだか映画のワンシーンみたいで好きなんです♪

ミヤザキタケル
みやざきたける|映画アドバイザー
1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweet・PHILE WEBでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

花柳のぞみ
はなやぎのぞみ|俳優
1995年、秋田県出身。趣味は、カメラとおさんぽ。主な出演作に映画『人狼 デスゲームの運営人』メインキャスト・姫菜役、YouTubeドラマ、TOKYO MX「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」保田紘子役。現在、「NURO モバイル」web CMに出演中。

記事内写真 / 花柳のぞみ

文 / ミヤザキタケル

今回の記事を含む、ミニシアター限定配布のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」4月号についてはこちら。
DOKUSOマガジン4月号(vol.19)、4月5日発行!表紙・巻頭は池松壮亮、センターインタビューは細田佳央太!

お近くに配布劇場が無いという方、バックナンバー購入ご希望の方は「DOKUSOマガジン定期購読のご案内」をご覧ください。

ミヤザキ タケル 映画アドバイザー

1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweetでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

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