SKE48高柳明音「アイドルとしての線路」の終着点 映画『スタンド・バイ・ミー』に寄せて 2021.3.31
高柳明音さんが、インディーズ映画にふれながら、その魅力を伝えていくコーナー。今回は特別編をお送りします。4月10日に卒業コンサートを迎える高柳さんに、編集部からこの時期にふさわしい映画をいくつかご提案。その中から選ばれた『スタンド・バイ・ミー』にフィーチャーしてお話をお聞きしました。
【スタンド・バイ・ミー あらすじ】
1959年オレゴンの小さな町。文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、行方不明になった少年が列車に轢かれて野ざらしになっているという情報を手にする。死体を発見すれば一躍ヒーローになれる! 4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した…。
今回、オススメした作品の中から『スタンド・バイ・ミー』を選ばれたのはどうしてでしょうか?
実はタイトルに聞き覚えが…と思ったら「ドラえもん」の映画の方でした。笑 でもあらすじを読んだときに4人の少年が死体を探しに行くってインパクトが大きくて、面白そうだなと思って選びました。
ありがとうございます。あらすじだけ読むと結構キワドイ感じがありますよね。4人の少年が実に子どもっぽい発想で、ほぼ無計画に旅立つわけですが、高柳さんは子ども時代に家族や周りの人をびっくりさせる行動をしたことはありますか?
びっくりさせたことですか? 私はこの少年たちのように「やんちゃ」ではなかったですけど、同じように秘密基地をつくって遊んでました!
でもSKEのメンバーには伝わらなくて「子どものころ秘密基地とかあったよね」と言っても不思議な顔をされます。笑
秘密基地をつくっていたんですね! 高柳さんはやんちゃではなく「わんぱく」だったのですね。
そうですね。かなりのわんぱくでした。前回もお話しましたけど、木から落ちて服がビリビリになったことがあるくらいですから。笑
中学生になるまでは女子友達4人で長袖長ズボンの体操服を着てサバイバルゲームみたいなことをしてました。山の崖みたいなところから木に飛び移ったり。だから擦り傷、切り傷は当たり前でした。
とても想像できないわんぱくっぷりですね。でも山を駆けずり回るのは大人になってからはなかなかできないですから、貴重な経験と言えますね。
まるで自分がゲームの主人公になった気分で、コントローラーは持っていないけれど、あの木に飛び移って滑り降りれば…とか計算したり、ゲームの中で自分を操っている感じが本当に楽しかったです。
まさにオープンワールドですね。ちなみに虫はどうですか? 例えばセミとか。
ぜんぜん大丈夫ですね。セミはよく採っていたので、いまでもさわれます。笑
蝶とかトンボも平気ですよ。蜂は刺されたら嫌なので怖いなと思いますけど、キャー!みたいなのはないです。
虫まで平気とは…。けっこうアクティブなのですね。
父がそういう人で、自然を知ったうえで育てたいという考え方なんです。なので、一緒に山登りをしたり、野草や木の実を採りに行ったりもしましたから、それで虫にも慣れたのだと思います。
あ! でも劇中のヒルに血を吸われるシーンはとっても嫌でした!笑
ヒルは虫じゃないですからね。笑
劇中の話になったところでお聞きします。本作は4人の少年が忘れられない夏を過ごすわけですが、高柳さんがSKEで活動されてきた中で、忘れられない夏の思い出はどんなことですか?
ライブやイベントではいろいろありましたし、楽しいで言うとライブが一番なんですけど、SKEの番組企画で廃校を歩いたことは忘れられないですね。
廃校を歩いた…!?
そうなんです。しかも夜で雨も降っていて。
ある意味、死体を見に行くのと同じくらい怖いですね。
本当に死体があるんじゃないかと思いました。笑
他にも4人5脚で箱根の山を登らされたり…。とにかくゴールできたときは達成感よりも終わったことの喜びが大きかったです。でも、そのとき一緒に頑張ったメンバーとの絆は一生ものだと思ってます。
図らずも4人! 今回の映画と同じですね。
映画では、死体を見つけて報告することで街のヒーローになる目的がありました。見つけたからといってその後がどうなるかわからないけど、少年たちは挑戦しましたよね。そこで高柳さんにお聞きします。
いよいよSKE48を卒業するにあたり、その後はどんなことがありそう、見えてきそうな気がしますか?
一度卒業が延びてしまったこともあって、やっとゴールが見えたと思っています。
この映画は線路が印象的な映画ですが、私はアイドルとしての12年間、線路の先にちゃんとしたゴールがあると信じて、アイドルの道を外れないまっすぐな線路だけを走ってきたつもりです。
なので、最後は自分を認めてあげたいです。間違っていなかったねと。そんなゴールがあったらいいなと今は思っています。
素敵なお言葉をありがとうございます。本作の少年は12歳、高柳さんは12年間の活動、不思議な縁を感じました。
劇中の言葉に「複雑な家庭環境のなかで仲間との友情を感じた12歳の頃のような友達は、二度とできることはない」がありますが、私もこの12年は、私だけの、私にしか生きられなかった12年であり、本当に宝物だと思っています。
これからもひとつずつ宝物が増えていくことを祈って、応援しています。
本日はありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!