髙石あかり & 伊澤彩織「続編への不安はなかった」『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』インタビュー

DOKUSOマガジン編集部


殺し屋女子コンビの“仕事と日常”を描き、国内外で話題となった阪元裕吾監督作の続編『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』。髙石あかりと伊澤彩織を再び主演に迎え、キレキレのアクションもユルい日常ドラマも前作からさらに進化している。ちさと&まひろコンビに、そして人気作の続編に挑んだ心境について、主演の二人に話を聞いた。

また一緒にちさととまひろに挑むことに怖さはありませんでした。──髙石あかり

スタントの仕事だけをやっていたら見えていなかったはずの景色がいま見えているのだと思います。──伊澤彩織

“続編”が決まったときの心境


髙石「『2』も『3』もやりたいとずっと話していました。前作の撮影時に阪元監督のいろんなアイデアを耳にしては、“if”の話で盛り上がっていたんです。なので“続編”の制作が本格的に決まったとき、どのアイデアが取り入れられるのかワクワクしていました。監督としては“続編”や『2』というよりも、純粋にちさととまひろの“その後”を描きたかったそうです」

伊澤「阪元さんは今作の脚本をすぐに書き上げたそうです。阪元さんに会う度、ちさととまひろの物語がずっと展開していることにドキドキしました。私たちが出会ったのは同じく阪元監督作の『ある用務員』で、そこからこうして二人で主演を務める映画が作られて、“その後”を描いたものまで作られて。本当に嬉しかったです」

互いの印象


髙石「初対面での伊澤さんの印象は、“信じられないくらい腰の低い方”でした(笑)。当時の私は10代半ばの未熟者なのに、すごく丁寧に接してくださって。でもそれは誰に対しても同じなんです。伊澤彩織という人はいつも変わらない。だから一緒にいると安心するし、居心地が良い。そしてアクションをすればまるで別人。このギャップも素敵です」

伊澤「『ある用務員』では二人とも女子高生の役だったのですが、当時あかりちゃんは現役女子高生でしたし、私は芝居のやり方も、立ち振る舞い方も分からなくてどうしたものかなと思っていました。でも彼女が天真爛漫な性格で現場を盛り上げてくれて、私を引っ張ってくれたんです。それは本作でも変わっていません。お芝居でつまずくと助けてくれるし、あかりちゃんといれば自然とまひろになれるんです」

“続編”ならではのこと


髙石「また一緒にちさととまひろに挑むことに怖さはありませんでした。台本を読んでいると伊澤さんの声が聞こえてきたくらい。むしろ私自身がちさとの“その後”をちゃんと演じられるか不安でした。でも、互いに委ね合う部分がうまく合致して、今回のちさととまひろ像が生まれました。二人で一緒なら大丈夫。そんな空気感がほのぼのとしたドラマパートに表れていると思います」

伊澤「アクションは前作以上にお祭り状態になっています。愉快で痛快なものも、真剣勝負もある。アクション部がつけてくれた振り付けに置いていかれないよう、食らいついていきました。前作のアクションが好評を得られたからこそ、あれを超えなければならないプレッシャーがありました。撮影の三ヶ月ほど前からアクション監督の園村さんに練習を見てもらって、基礎を振り返った時間がとても重要だったと思います」

作を経て得たもの


髙石「伊澤さんって本当にすごいんです。私は、言われたことをできるだけ100%に近いかたちで表現できるようにしているのですが、伊澤さんは、自身の視点から自分なりのアイデアを持ってきたりされている。お芝居へのアプローチが他の俳優さんとはまた違うんです。たぶん、私とは見えているものが違う。だから嫉妬に近い感情があります。私はお芝居が好きで好きでしかたがありませんが、それゆえに凝り固まってしまっている部分も確実にある。それをほぐしてくれるのが『ベイビーわるきゅーれ』だと気づきました」

伊澤「制作陣とキャストが続編を良い作品にしようと力を振り絞ってくれたこと、そこに私も一緒にいられたことが誇りとなりました。あかりちゃんは求められている以上の表現を確実に映像に残していく。あかりちゃんの芝居を隣で見る度に驚かされますよ。私にできる表現は一体何だろうと、考えさせられました。スタントの仕事だけをやっていたら見えていなかったはずの景色がいま見えているのだと思います」


髙石あかり
たかいしあかり|俳優
2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。19年より俳優活動を本格化。『ベイビーわるきゅーれ』(21)で映画初主演を果たす。主な出演作に映画『さよなら、バンドアパート』(21)、『とおいらいめい』(21)、『終末の探偵』(22)など。『わたしの幸せな結婚』(3月17日)、『Single8』(3月18日)が公開待機中のほか、ドラマ「東京の雪男」(NHK Eテレ)にレギュラー出演。

伊澤彩織
いざわさおり|スタントパフォーマー、俳優
1994年2月16日生まれ、埼玉県出身。スタントパフォーマーとして、映画『キングダム』(19)、『るろうに剣心 最終章』(20)、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(21)、『ジョン・ウィック』新作(23)などで、メインキャストのスタントダブルを担当。役者としての主な出演作に映画『ある用務員』(20)、『ベイビーわるきゅーれ』(21)、『オカムロさん』(22)などがある。


『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』
監督・脚本 / 阪元裕吾
アクション監督 / 園村健介
出演 / 髙石あかり、伊澤彩織、水石亜飛夢、中井友望、飛永 翼(ラバーガール)、橋野純平、安倍 乙/新しい学校のリーダーズ/渡辺 哲/丞威、濱田龍臣
公開 / 3月24日(金)より新宿ピカデリー 他
©2023「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」製作委員会

あらすじ
あの2人がついに、スクリーンに帰ってくる…!?殺し屋女子2人組のアクション映画、待望の続編!ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、またも途方に暮れていた…。この世は金、金、金、ジムの年会費、保険、教習所代などとにかくお金がかかる。時を同じくして殺し屋協会アルバイトのゆうり(丞威)とまこと(濱田龍臣)の兄弟も途方に暮れていて…。ある日「ちさととまひろを殺せば昇格できる」という噂を聞き、作戦実行を決意する。

撮影 / 西村満 取材・文 / 折田侑駿 ヘアメイク / 西田美香(atelier ism®︎) スタイリスト / 入山浩章

今回の記事を含む、ミニシアター限定配布のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」3月号についてはこちら。
⇒DOKUSOマガジン3月号(vol.18)、3月4日発行!表紙・巻頭は斎藤工、センターインタビューは髙石あかり&伊澤彩織!

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