高柳明音「この雨が止む頃には…と期待感を持ってすごく楽しめました」『恋は雨上がりのように』 2022.6.10
高柳明音さんが、シネマスコーレ副支配人の坪井篤史さんを師匠にお迎えし、映画マスターを目指します。第9回は、小松菜奈さん、大泉洋さん共演の『恋は雨上がりのように』です。眉月じゅんさん原作の同名コミックを実写映画化した本作。梅雨のいまこそ観たい一本ですが、高柳さんはどのように楽しんだのでしょうか?
©2018 映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 ©2014 眉月じゅん/小学館
『恋は雨上がりのように』
Blu-ray & DVD発売中
発売元:小学館/博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
販売元:東宝
©2018 映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 ©2014 眉月じゅん/小学館
『恋は雨上がりのように』あらすじ
高校2年生の橘あきら(17歳)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の近藤正己(45歳)だった。それをきっかけにあきらは、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の近藤に密かな恋心を抱いて…。真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。
6月は雨の季節ということで、雨にちなんだ映画『恋は雨上がりのように』を観ていただきました。本作は、小松菜奈さん演じる高校2年生の橘あきらが怪我で陸上の夢を絶たれ、偶然入ったファミレスで大泉洋さん演じる店長に出会って恋心を抱き…という物語です。僕は公開当時、キラキラ映画かな?と思ったんですよね。でもこれが、40歳を過ぎたおじさんも生きていいんだってエールをくれる映画で…。そういう意味で僕にとって宝物のような映画なのですが、高柳さんはいかがでしたか?
物語も映像もとってもきれいな映画でした! 冒頭のドローンの映像で惹きつけられましたし、特に小松菜奈さんが走るシーンが圧巻でした。タイトルに雨が入っているだけに雨のシーンは多かったですがクドくはなく、この雨が止む頃にはきっと…。と期待感を持ってすごく楽しめました。
本当に、いろんな意味できれいな作品です。あきらの人生が動く時、必ず雨が降っているんですよね。雨の使い方がとても印象的で、小雨、本降り、時にはどしゃ降りになったり。あきらの気持ちをうれしいと思いながらも、自分を見失うことなく誠実に向き合う店長は高柳さんから見てどうでしたか?
知れば知るほど素敵な人なんだと思います。一見すると弱腰で、なんだか格好つかない人のように見えがち。でも、実はすごく優しくて、誰かのことを考えて行動できる人。そこに気がついたからこそ、あきらは惹かれたんだと思います。気づける、感じられるかどうか、それだけでガラッと印象が変わる人かなって。あきらにとっては絶望から救ってくれた人ですからね。でも実は店長もあきらから救ってもらうことになるんですよね。
そうなんです。店長もかつては夢があって、まだ諦めきれずにいる。そんな二人の関係性が見事に描かれている。戸次重幸さん演じる店長の同級生が「未練じゃなく執着だ」と語るシーンがありますが、まさしく店長とあきらに当てはまる言葉。恋愛映画の殻をかぶった青春映画、あえて言うならおじさんのための青春映画なんですよね。特に全国のファミレスの店長は「明日からもがんばるぞ!」って思えるはず。
勘違いしたらダメですけどね。さすがにこんな展開はないと思います。(笑)
それが映画のいいところでもありますよね。現実にはほぼありえないけれど、夢を見させてくれる。図書館でのシーンも秀逸です。あきらが店長にオススメの本を尋ねると「君を呼んでいる本がある」と語るところ。あれも現実で言うと結構やばいですけど、本作では成立しちゃう。(笑)
たしかに。でも私、同じようなことを言っていると思うことがあって…。私は鳥をいろいろ飼っているので、ファンの方からどんな鳥がオススメですか?と聞かれることがあるんです。そんなときは「まずはお店に行ってみて」と答えるんです。きっとフィーリングが合う子がいるって。
同じ流れですね!
実は私も最初の鳥を飼うとき、何も決めずにお店に行って「この子だ!」って鳥に出会えたんです。それからその種類が好きになっていったので、まずは自分の直感を信じることも大事かなって。
なるほどです。でもそれは高柳さんだからこそいいんですよね。例えば僕が大学生からオススメの映画を聞かれて「君を呼んでいる映画がある」とか言うと「うるせえジジイ!」ってなりそうです。(笑)
鳥を飼うのとは違って、映画だと何本かレンタルするのでとりあえず1本くらい教えてほしいですよね。(笑) 本作で言えば、好きな人の好きな本を読みたいし、読んでみて「私も好きでした!」って盛り上がりたかったはずなんです。あなたの好きな本を読みたいし、好きになれたらうれしいって思いがありますから。
ではあのシーンでの対応は危なかったんですね?
そう思います。普通はすんなり教えた方が無難です。(笑)
適当なことを言われたと勘違いされないためにも、やっぱりまずはちゃんとオススメを教えるのがいいですね。ちなみにあくまでも妄想で幻想ですけど、いつかは小松菜奈さんみたいな人が職場に来てくれたら、なんて希望を持つのは…
入ってきません!
ですよね〜。実際に来てもどう接していいかわからないんですけどね。大泉店長のようにスマートにできないです。
一歩間違ったら通報案件ですから。(笑)
映画での疑似体験で満足したいと思います。
高柳明音
たかやなぎあかね|1991年生まれ、愛知県出身。2009年にSKE48の2期生メンバーとしてデビュー。21年4月にグループを卒業し、現在は女優・タレントとして舞台、バラエティ、ラジオなど幅広く活躍中。
坪井篤史
つぼいあつし|1978年、愛知県生まれ。シネマスコーレ副支配人。小3の時に映画と映画館の神様から啓示を受け、死ぬまで映画と映画館で生きると決めたアブナイ人。
今回の記事を含む、ミニシアター限定のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」6月号についてはこちら。
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1991年生まれ、愛知県出身。2009年にSKE48の2期生メンバーとしてデビュー。21年4月にグループを卒業し、現在は女優・タレントとして舞台、バラエティ、ラジオなど幅広く活躍中。