ラジオドラマに出演して分かった、『ラヂオの時間』の素晴らしさ 2021.1.27
あけましておめでとうございます。というにはだいぶ日にちが経ってしまいました。しかし挨拶というものは大切だと散々言われてきました故。
あけましておめでとうございます。2021年もどうぞよろしくお願い致します。
2020年、コロナ禍が収束する兆しも見せぬまま2021年となり、日本は2回目の緊急事態宣言。なかなか世知辛い世の中ですね。そんな、暗雲立ち込める世の中の風を吹き飛ばす年始の映画初めはなににしようかと悩んだ末、思い立ちました。三谷幸喜監督作品『ラヂオの時間』だと。
これにはまぁ理由があって。
昨年、1回目の緊急事態宣言の発令。本番一週間前となっていた舞台は延期(当時はなくなるかもと言われた)、あと1日で終わるはずだった京都での撮影も他のドラマも延期になり、約1ヶ月半、不本意なお休みをいただきました。
これから何がどうなるのかと不安になりながらも、途中から「世の中と一緒にこんなに休む日々は今だけだ!」と、私の得意技「ネガティブから急速でポジティブへと思考を変動させる」を使い、主に睡眠を重視した有意義な日々を過ごしました。
とはいっても、心配は心配。超売れっ子女優ならまだしも、お仕事も増えてきたしこれから!と意気込んでいる女優からしたら、このタイミングでの仕事延期は不安しかありませんでした。だって延期とはいえ、その仕事がなくなってしまう可能性も0%ではない。しかし今はとにかく有意義に、無理矢理なお休みを楽しむことにしていました。
そして約1ヶ月半後、とあるお話が事務所に舞い込んできました。
「ラジオドラマに出演しませんか?」
それは、NHKオーディオドラマ。タイトルは「巣ごもりな人々」
自粛生活を余儀なくされた人たちに巻き起こる2つの物語。
なんという、素晴らしい話だろう。対面でお芝居をすることはなかなかに、まだ難しい日々だったのですが、ラジオドラマならソーシャルディスタンスを保つこともでき、ラジオなら例えば別の部屋でもキスをすることもできる。しかも人生で初めてのラジオドラマです。
これは!これは!!!子どもの頃から見ていた『ラヂオの時間』のリアル!!!
と自粛生活の鬱憤を吹き飛ばす出来事でした。
もちろん、答えはyes!!「巣ごもりの人々」に全力で打ち込んだことは言うまでもありません。
しかし、映画と現実は違います。そう、時代も違うのかもしれません。この続きは置いておいて、まずは『ラヂオの時間』の説明から。
生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌していく…。
もう面白いのなんのって!どんどん勝手に脚本が変わっていってしまったり「本気で面白くしようとしてない」からの、全員が全力を出し始める。正直、リアルともとれる現場の環境が、芸能をやり始めて少しわかる。笑
©1997 フジテレビ 東宝
ちなみにどんどん脚本が変わってしまうのは、主演女優様(戸田恵子さん演じる千本のっこ)による、役名が気に入らない発言から始まります。その感じもなんか悪びれてないし、ちゃんと笑顔で挨拶したり、気が利くふりをしたり。あぁ、やな奴!ってなりながらも、最後の最後は少し好きになっちゃうストーリー。
愛されるキャラクターというのは、嫌なやつとか良い人とかでなく、その人間を貫くことで生まれるのかもしれないなと今になって思うのです。
また、効果音を全てデジタルで表現する昨今にて、トラブルで音源が使えなくなってしまうところも見どころのひとつ。かつて効果音を作っていた守衛のおじさまが「音は頭を使って手作りするものだ、デジタルはぜーんぶ同じ音だ。」的なセリフと共に、色々なアイデアで効果音を放つ姿は、子どもの頃に見て一番ワクワクしたシーン。
花火が打ち上がる場面では「50円玉ある?」と言って、花火のぴゅ〜って音を出したり。子どもの頃にやって、全く出なかったのを思い出します。難しいよね。
ちなみに同じシーンで小銭を何に使うかわからない編成部長が「これ使って」と一万円札を出すのとか細かいけどすごく好きな演出!たしかに「50円ください=お金が必要」と勘違いしてもおかしくない場面なので、役柄を理解するって大切だなと改めて思いました。
と言うか、昔も今もときめく豪華俳優陣(唐沢寿明さん、鈴木京香さん、西村まさ彦さん、などなど)の若い頃のお姿を拝見できるだけでも最高なのに、ストーリーも良くて、もうこの映画は日本の皆様にぜひみて頂きたい最高の映画なんですよ。
あ、でね?
「しかし、映画と現実は違います。そう、時代も違うのかもしれません。」
ってさっき書いたんだけど、
それってね。私がラジオドラマを録った時、コロナ禍なので、ソーシャルディスタンス&飛沫防止などの理由で、ラヂオの時間のように、同じ空間で、交互に同じマイクを使って録る、ということは出来なかったのです。
それと、ラヂオの時間は生放送でしたが、巣ごもりな人々は収録、なので効果音も後から入れているので、効果音が鳴らない!!!なんて心配は全くないのでございます。渡辺謙さんにラジオを消されそうになる心配もございません。笑
(渡辺謙さんはトラック運転手のラジオ視聴者役としてラヂオの時間に出演しています。)
これからも時代が進み、技術が進み、いろいろな試みができるのだと思います。しかし、生放送でない限り、やはりラヂオの時間のような奇跡は起きないのだろうな。(実際あのトラブルは勘弁だし)
ちなみに、私、またラジオドラマに出演させていただくこととなりました!
TBSラジオのAUDIO Movieというオーディオドラマです。少しアダルティなラジオドラマとなっています。
こちらの現場も、アクリル板をはって、お互いに接触しないよう配慮された現場でございました。そして少し変わった設定のお話なので、物語の舞台に合わせてちょっとだけスタジオを暗くしていただいたり、小道具を用意してもらったり。詳しいことは改めてお知らせしますので、ぜひ、聴いてみてくださいね。
さいごに!ラヂオの時間、たくさん推しのシーンがあるんですが(というか全シーン推しだし、表情とかキャラクターとか演じ方とか演出とかもう本当全て最高なのですが)これだけは一番大切!ちゃんと、エンドロールを最後まで見てね。
エンドロール後になにかあったりはしないけどね。でもエンディング曲は編成部長役の布施明さんが歌っております。ものすごくいいお声。しかも歌詞は千本のっこさんの名前も出てくる...。
んん...、これは、ちゃんと聴いて、最後まで映画を楽しんでいただければと思います!
はぁ、大先輩の方々が出演の映画、やっぱり最高でございます。
また明日から撮影がんばろっと!
©1997 フジテレビ 東宝