目黒唯一の映画館である老舗名画座「目黒シネマ」を訪問!ー ミヤザキタケルのミニシアターで会いましょうwith花柳のぞみ

ミヤザキタケル
花柳のぞみ

映画アドバイザー・ミヤザキタケルさんが、俳優・花柳のぞみさんと一緒に全国津々浦々のミニシアターを巡り、各劇場の魅力や推しポイントをお届けします。目指すは全国のミニシアター制覇♪

ミヤザキタケル

今回は、目黒唯一の映画館である老舗名画座「目黒シネマ」にお伺いしました!

映画の世界にどっぷりと魅了され始めた20代前半の頃、今は亡きTSUTAYA東池袋店で5本1000円レンタルを毎週延々と繰り返していた。店内の棚を隅から隅まで吟味し、気になった作品のパッケージ裏面を読み漁り、1時間近くかけて5本の映画をチョイスする。サブスク全盛の現代となっては二度と味わうことのないであろう、あの稀有な時間の中で僕は数々の作品と巡り逢ってきた。

そして、胸を打つ作品と出逢う度にこんな想いを抱くようになった。「この作品を映画館の大きなスクリーンで観てみたい」と。そんな願いを叶えてくれる場所が、日本にはいくつか存在する。封切館での公開を終えた作品や、過去に上映された作品を2本立て、かつ少し安くお得に上映する「名画座」と呼ばれる映画館だ。というわけで今回は、目黒駅西口を出て徒歩3分、目黒唯一の映画館である老舗名画座「目黒シネマ」を紹介します。

1955年(昭和30年)に前身である「目黒ライオン座」「目黒金龍座」が誕生。1975年(昭和50年)に名称を「目黒シネマ」へとリニューアルし、2館体制から1館体制へとシフトチェンジ。その頃から現在の形である2本立て上映がスタートし、メジャー・インディーズ、邦画・洋画問わず、映画好きを唸らせる趣向を凝らした独自の2本立て企画を展開している。

そのラインアップやキャッチコピーは、映画好きのスタッフが一丸となって決めており、館内の展示物や来場者配布のチラシ、入口の作品案内ボードに至るまで、全てがスタッフの手作り!これまで本コーナーで紹介してきた映画館とはまた異なるベクトルで、映画愛に満ち溢れた空間となっている。近年では通常の2本立て上映に加え、映画監督や俳優が自作に併せて上映作品をチョイスする企画上映や、トークイベントも頻繁に開催。他の名画座とは一線を画する独自の路線を確立している。スクリーンへと至る扉には、これまで登壇した監督や俳優のサインがギッシリと書き込まれているので、劇場へ訪れた際には要チェック!

イベント上映の成り立ちをお尋ねすると、意外や意外!俳優の竹中直人さん監督作『サヨナラCOLOR』の上映が決まった際に、竹中さんから「イベントをやらせて欲しい」と持ち込み企画のような形で直接電話があり、「まるごと竹中直人」というイベントをやり始めたのが一番最初のきっかけとのこと。その後も、犬童一心監督からのお声がけで「市川準監督特集」が毎年開催されるようになり、市川準監督作品ゆかりのゲストにお越しいただく機会が増えたのを皮切りに、イベント上映が頻繁に行われるようになったとのこと。つまりは、現在の目黒シネマの方向性の一端を決定付けたのは、竹中直人さんということに!?(劇場にあるユーモア溢れる竹中直人さんのサインも必見です)

また、2019年からは「with MEGURO CINEMA」と銘打ち、目黒シネマの35mm映写機やカチンコをモチーフとした普段使いのできるアパレルの販売を開始(これがまたかわいい)。目黒シネマのSNSなどをご覧いただければお分かりになると思うが、「名画座」というワードが持つ古風なイメージとはどこか相反しており、時代の流れに乗り遅れることなく、常にあらゆる方向へとアンテナを張り巡らし、お客様と映画の出会いに力を注いでいる。上映作品やその組み合わせ、イベント上映など、目黒シネマを象徴する要素は数あれど、今この時代において、あらゆる世代に映画を届けようとする精神こそが、目黒シネマという映画館の最たる魅力ではないだろうか。

良い映画であれば、スマホ、テレビ、パソコン画面で目にしようと、きっとあなたの心を揺さぶってくれるに違いない。しかし、劇場の大きなスクリーンで目にしてこそ、その真価が発揮されるものだと僕は信じている。『ファイトクラブ』『ピンポン』『ジョゼと虎と魚たち』『はじまりのうた』など、公開当時に劇場で観られなかった作品を僕は目黒シネマで目にしてきたが、その感動や興奮は格別であった。サブスクで目にした良作、元々好きだけど劇場で観たことがない作品など、目当ての作品が上映される際に名画座を利用してみるのはいかがでしょう。都内にお住まいの方はもちろんのこと、他県にお住まいの方も、東京へお越しの際には是非一度目黒シネマへ足を運んでみてください。それでは、次のミニシアターでまたお会いしましょう♪

花柳のぞみ

ここからは、花柳のぞみが「目黒シネマ」の見逃せないところをご紹介します。題して、

「はなやぎのビビっとポイント!」

レトロな入場券売場を発見!ネットチケットは便利だけど、たまにはチケットを買うところから映画体験をスタートさせるのもいいかも!

目黒シネマさんの愛を感じられるポイントカード案内を発見!発行無料!期限ナシ!5P貯めると無料!これは通うしかないっっっ

古いものはなんと2007年からある番組表。長年続く、ひとつひとつ手作業で作られた愛のチラシ。お客様と映画の出逢いをお手伝いしたい、とスタッフさんの愛を強く感じます!

バケットハットにTシャツにポストカード、これ全て目黒シネマオリジナルグッズです。Tシャツに描かれた映写機は、スタッフさんの手書きのイラストだとか...!
(※目黒シネマのオリジナルグッズ販売サイトはこちら

ミヤザキタケル

花柳さん、ありがとうございます!「目黒シネマ」にはまだまだ魅力的なところがたくさんあるので、ぜひみなさんも探してみてくださいね。

次回はどんなミニシアターにお会いできるでしょうか。ぜひお楽しみに♪

ミヤザキタケル
みやざきたける|映画アドバイザー
1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweet・PHILE WEBでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

花柳のぞみ
はなやぎのぞみ|俳優
1995年、秋田県出身。趣味は、カメラとおさんぽ。 主な出演作に映画『人狼 デスゲームの運営人』メインキャスト・姫菜役、YouTubeドラマ『TORCH』主演・朱音役など。現在、TOKYO MX『おじさんが私の恋を応援しています(脳内)』保田紘子役で出演中。

記事内写真 / 花柳のぞみ
文 / ミヤザキタケル

今回の記事を含む、ミニシアター限定のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」6月号についてはこちら。
⇒6月号(vol.9)の表紙は阪本順治監督と伊藤健太郎さん!DOKUSOマガジン配布劇場とWEB版のお知らせ


お近くに配布劇場が無いという方は「DOKUSOマガジン定期購読のご案内」をご覧ください。

ミヤザキ タケル 映画アドバイザー

1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweetでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

この連載の人気記事 すべて見る
今読まれてます RANKING