体調が悪い時はホラーを観ると元気になる!?『CLIMAX クライマックス』【根矢涼香のひねくれ徘徊記 第6回】 2022.3.9
これは私あるあるなのだが、体調が悪い時はホラーを観ると元気になる。中学時代、インフルエンザになり学校を休んだ私は、母に頼んでTSUTAYAで呪いのビデオシリーズを借りてきてもらった。勉強に疲れた高校時代はパラノーマルアクティビティを一気見。爆笑しながら模試への不安を解消していた。
なぜ唐突にこんなことを言い出すのかというと、コロナに罹ったのだ。幸い重症化はせずに済んだのだが、いくつかのお仕事に響いてしまった。見えない敵を睨めもしないが、気を付けていただけに悔しい。家から出なくてもおなかは鳴る。どうしても何かしたくなり、今か今かと待ち構えていた積読たちの相手をしたり、水回りの掃除をしたり、ジャケ買いしていたレコードをかけたりとなんやかんやで忙しい。気力があるときは動いた方が心が晴れる。工夫次第で感染籠城も楽しくなるのだ。
さて、映画でも見ちゃおうかな、という時に立ちはだかる問題がある。映画というのは観るときのコンディション、タイミングに左右されることは言わずもがなだろう。劇場の暗闇に包まれて観られるのならまだしも、見慣れた自堕落小屋の中で集中するためには、内なる私と対話をし、脳内審議にかけてまさに今コレだという作品を決める必要がある。
しかし今日の私は迷う必要はない。病の毒は、毒で制すのです。かといってコワさにも種類がある。じっとりと想像させるJホラー、んなアホなの連続のアメリカンホラー、結局は人間が一番恐ろしいサイコスリラー…。のちに風呂場で思い出して後悔することなどキレイに忘れて処方箋を選ぶ。
この手強いウイルスに立ち向かう映画が選ばれた。ギャスパー・ノエ監督の『CLIMAX クライマックス』、97分間の悪夢(バッドトリップ)だ。
©2018 RECTANGLE PRODUCTIONS-WILD BUNCH-LES CINEMAS DE LA ZONE-ESKWAD-KNM-ARTE FRANCE CINEMA-ARTEMIS PRODUCTIONS
『CLIMAX クライマックス』
DVD&Blu-ray好評発売中
¥5,280(税込)
発売元:キノフィルムズ/木下グループ
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
© 2018 RECTANGLE PRODUCTIONS-WILD BUNCH-LES CINEMAS DE LA ZONE-ESKWAD-KNM-ARTE FRANCE CINEMA-ARTEMIS PRODUCTIONS
イラスト / 根矢涼香
撮影 / 角戸菜摘
スタイリスト / 山川恵未
ヘアメイク / 染川敬子(TOKYO LOGIC)
編集 / 永井勇成
衣装 / ブラウス¥5,850 / Wild Lily、スニーカー¥6,490 / mite〈問い合わせ先〉Wild Lily 03-3461-4887 / mite 090-9459-0310
※根矢涼香さんの今回の記事を含む、ミニシアター限定のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」3月号についてはこちら。
⇒3月号の表紙は『猫は逃げた』の今泉力哉監督と毎熊克哉さん!「DOKUSOマガジン vol.6」配布劇場のWEB版のお知らせ
お近くに配布劇場が無いという方は「DOKUSOマガジン定期購読のご案内」をご覧ください。
1994年9月5日、茨城県東茨城郡茨城町という使命とも呪いとも言える田舎町に生まれる。近作に入江悠監督『シュシュシュの娘』、野本梢監督『愛のくだらない』などがある。石を集めている。