【河合優実 インタビュー】恋をしている人間の“愚かさ”が描かれています『愛なのに』 2022.2.8
DOKUSO MAGAZINEが注目する俳優をご紹介する本企画。第5回に登場するのは、第95回 キネマ旬報ベスト・テンで新人女優賞を受賞された河合優実さんです。2019年のデビュー以降、『佐々木、イン、マイマイン』『サマーフィルムにのって』など話題作に次々と出演。2022年2月25日に公開される映画『愛なのに』で古本屋の店主・多田に突然求婚する女子高生・岬を演じる河合さんに、脚本を読んだときの印象、城定監督の演出方法、恋する人たちについてお聞きしました。
河合優実
かわいゆうみ|俳優
2000年12月19日生まれ。東京都出身。近年の主な作品は、『佐々木、イン、マイマイン』、『アンダードッグ』、『サマーフィルムにのって』、『由宇子の天秤』、『ちょっと思い出しただけ』、ドラマ「ネメシス」、「さまよう刃」、舞台「フリムンシスターズ」。待機作に城定秀夫監督の『女子高生に殺されたい』がある。
ー『愛なのに』は、古本屋の店主、店主に突然求婚する女子高生、店主が思いを寄せる女性とその夫など、さまざまな愛が交差し二転三転する先の読めないラブコメディです。河合さんは瀬戸康史さん演じる古本屋の店主・多田に求婚する女子高生・岬を演じていますが、今泉力哉さんの脚本を読んだときどういうイメージを持ちましたか?
「言動だけ見るとちょっと変わった女の子でしたけど、考えていく内に、普通の女の子が一過性の大恋愛をする過程が『愛なのに』の脚本に切り取られているだけなのかもなと思いました。脚本に書いていないバックグラウンドはあまり掘り下げず、岬が多田さんにどういう感情を抱いて行動に出たのかを中心にイメージしながら演じました」
ー岬を演じるうえで、城定監督からどんな演出があったのでしょうか?
「それが、全然なかったんです!(笑) 本作とは別で城定さんの作品に出させていただいたんですけど、同じように具体的な指示はなくて。城定さんは“この役はこういう人だから”みたいな演出をされる監督じゃなくて、俳優に解釈を委ねて演じてもらい、もしそれが作品世界から外れすぎて成立しなくなった時に指示を出されるのだと思います。
そして、とにかく撮影のテンポが早いんです。城定さんの中に明確な完成形があるのかなと感じたんですが、決まった形にはめ込む訳ではなく、俳優の動きや現場で起きる事に瞬時に反応して頭の中で再構築して、撮影していくような。お芝居をいつもおもしろがってくれたので、楽しく演じることができました」
ー河合さんが好きなシーンは?
「冒頭の、岬が多田さんに求婚する一連のシーンです。とある理由で岬が逃げて多田さんが追うんですけど、2人とも必死なのにやってることがおかしくて。あとは、岬に片思いをしている同級生の正雄くんと多田さんがケンカをするシーンも好きですね。全編通してですけど、みんなの真剣さに笑えます。真剣にやって失敗している人ってチャーミングだと思います。
出演者のみなさんがとにかく魅力的で、本読みのときに初めてお会いしたんですけど、城定さんも笑いながら見てたんですね。「このまま撮りたい。このおもしろさをそのまま映したい」と言って。それぞれの表現の魅力を堪能して頂ける作品になっていると思います」
ーみんな形は違えど恋をしてすれ違う。『愛なのに』というタイトルがぴったりの作品です。
「恋をしている人間の“愚かさ”がよく描かれていると思いました。外から見たらいろいろ言えるけど、当事者になったら何も見えなくなってしまう…。出てくる人、大体愚か。(笑) だけどみんなを許したくなってしまう。愛したくなってしまう。そんな個性のある登場人物を絡ませながら、暖かな物語にまとめあげてくれた脚本の今泉さんと監督の城定さん、とても素敵なタッグだったと思います」
©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ
『愛なのに』
監督 / 城定秀夫
脚本 / 今泉力哉
出演 / 瀬戸康史、さとうほなみ、河合優実、中島歩
公開 / 2月25日(金)より新宿武蔵野館 他
©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ
撮影・文 / 大川竜弥
ヘアメイク / たかきまりこ
スタイリスト / 𠮷田達哉
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